【トライ&エラー】間違った認識と生かすコツ
『トライ・アンド・エラー』って実は『Try』ではなく『Trial』つまり、『挑戦』ではなく、『試験』という意味なんですよね。これって、仕事でも子育てでもとても大切なことだと私は思うんです。私は8年間フリーランスで多くのクライアントさんとお仕事をさせていただいてきた中で、この「トライ&エラー」の間違った認識と2パターン分かれる失敗例、それからエラーを活かすための私が思うコツをお伝えしていきます。
トライ&エラーじゃなくて『トライアル&エラー』
そもそも「トライ&エラー」というのは和製英語。トライではなく“トライアル”が正しい単語です。
トライ(Try) | (…を)努力する、やってみる、する、ためす、ためしにやってみる、あけようとしてみる、ためしてみる、当たってみる、(知るために)やってみる、(ためしに)食べてみる |
トライアル(Trial) | 裁判、公判、審理、(良否・性能などの)試み、試験、ためし、試練、災難、苦労、うるさい人 |
英語だと↓↓
こうしてみるとわかりますが、結構物理的というか、実は化学の実験などの時によく耳にする言葉だったりします。
つまり、会社の上司とか学校の先生とか、時には親とかに「『トライ&エラー』が大切だ!まず挑戦してみよう!」と言われたとき、挑戦が大切だとか、失敗してもめげるなとか、なんとなく精神論を言われているように感じたら、そうではないということ。
これはもっと物理的なことで、「失敗してみないとわからない部分は試験をおこなおう」というニュアンスなんです。(言ってる人もそれを理解していればですけど…笑)
そもそもこの認識が違うので、失敗するというよりも目的が違ってしまってる場合が多い気がします。
【トライ&エラー】が成功しない2パターン
①トライアルしないパターン
これは多くの日本人に見られるパターンなのかなと思います。「失敗したら嫌だから」「どうせ失敗するなら」と、先に“失敗”を考えてしまって、まず始めるということができないんです。でも、私がすごく思うのは、人間って間違ったり、苦痛の中で努力しなければ学ばないというか、生理学的に言えば“長期記憶を形成できない”んですよね。
何かを学ぶということは、脳の神経細胞のシナプス同士の連携が強くなって記憶として定着するということです。脳の神経細胞のシナプス同士のつながりは、何度も信号が行ったり来たりすることでどんどん強くなっていき、信号も行き来しやすくなります。つまり、何度も何度もそこに信号を通さないと長期記憶にはならないということです。
脳の成長も筋肉と同じように考えることができます。筋肉を大きくするには筋トレをする必要があります。そうするともっと重たいものを持ち上げられるようになるので、もっともっと重たいダンベルを使って筋トレしなければ筋肉は大きくなりません。脳もこれと同じです。
普段の生活や思考ではそれ以上勝手に成長することはありません。少しつらいけど、ちょっと嫌だけど、できないかもしれないけど、それでもやってみることで、脳が少し成長して、また新たなことやさらに発展したことができるようになるんです。
何が言いたいかというと、人間、何かを学ぶ=成長するというとき、決して楽しくハッピーな気持ちではじめるのではなく、ほとんどの場合がネガティブでめんどくさくてしんどくてストレスなんです。それをいかにコントロールしながらやってみることが成長につながるんです。科学的にもね。
これまで多くのクライアントさんとお仕事させていただいた中で、長年スタイルを変えずに運営されてきた古くから営んでいる中小企業などでこのパターンを目にしたことが何度もあります。自分の子供たちも「めんどくさい」「失敗したら恥ずかしい」そんなことを口にすることがあります。
まぁ、別に成長しなくてもいいという人に無理やりこの考えを押し付ける必要はないと思うんですけど、せっかく細胞は成長できるように造られているなら、私は有効活用しないなと考えています。
企業に関してはもちろん、これは成長のために必要なストレスですし、子供たちには「いやだな、面倒だな、やりたくないな」という気持ちは、そこの先に成長があるというサインだよ。と教えています。
まず、トライアル。
②トライをTRYだと思ってるパターン
最近のクライアントさんでよく見るのはこのパターン。「まずやってみよう」すごく大切です。でも、本当にただやっているだけで成功するほど市場は甘くありません。世の中もそんな素敵システムじゃありません。
思いつきで「お、それいいね。やってみてトライ&エラーでまた考えよう」という言葉を聞くと、「お?TRYじゃないぞ??TRIALだぞ!」と突っ込みそうになります。クライアントさんなのでそんな風には言いませんが笑
企業で何かを行うなら、少なからずリソースが割かれます。そしてどんな企業にもリソースにはリミットがあります。例えばリソースの最大が100だとすると、このパターンのクライアントさんは10個の“TRY”に10ずつリソースを割こうとします。そしてそのうちのどれかが当たればラッキーという感じ。正直、そんなTRYに対してエラーが出るのは当たり前すぎて、エラーから学ぶことなんてほぼありません。「なんかダメだったね」となるんです。
でも、一度進行し始めたプロジェクトをすぐにやめるのもどうなんだ…続けてみたら変わるかもしれない。。。そんな「気持ちの問題」で100あるリソースがすごく無駄遣いされている中小企業やスタートアップ企業を本当にたくさん見ます。
特にリソース自体が多くない中小企業やスタートアップ企業では、TRYの志をもってTRIAL、つまり検証や実験、試作、リサーチをできる限りおこなってその時に最大限、最高の出来のものを出す。そうすることで、エラーが出たときにどの部分が良くなかったのかわかることができるのです。もちろん大手企業みたいに多額のコストをかけたリサーチや検証はできないですが、せめて「社長の思い付き」みたいなTRYに対しては、リソースを割く意味があるのか考慮するべきです。
子供の勉強で考えるとわかりやすいかもしれません。例えばピアノを習っていたとして、日頃たくさん練習している子が発表会で失敗してしまったとします。すると、「あー、やっぱりここの不安だったところももう少し練習しておけばよかった」「もっと楽譜を見ないで練習する必要がある」となるかもしれないし「緊張しすぎたせいだから次は緊張対策をしよう」となるかもしれません。
でも、普段から練習していなかった子が発表会で失敗すると…?「なんかダメだった」「恥ずかしかった」「終わってよかった」という感想や「才能ないからやめよ~」ということにもなるかもしれません。
TRYじゃなく、TRIAL。まずスタートするんじゃなく、「まず、努力のスタートをする」ということが大切です。あなたが企業の上の人なら、部下や社員のリソースをいかにうまく活用できるかは、あなた次第。あなたがママやパパなら、結果ではなく努力を誉めてTRIALを身に着けさせてあげることで、次の発表会の成功が見えてくるのではないでしょうか?
トライ&エラーを活かしてみよう
ということで、ここまでですでにお分かりの方も多いと思いますが、人間って成長できるようにできています。というか、成長するのが前提として細胞ができているため、成長しない人には対価があります。アルツハイマーの原因といわれるアミロイドβが増えたりね。そもそもシナプスつながらず長期記憶を作らなければ、脳細胞死んでいきますから、まぁいわゆる「ボケる」とか。
あと新しい情報を受け入れられなくなるので、怒りっぽいとか。初老で怒りっぽい人とか見ると、あー努力しなかった結果か…と私がいつも思うのですが笑 あとはネット上で他人にいろいろコメントしてる人見ると、おー、こんな若いうちからすでに自分以外の考えが受け入れられなくなっているのか…脳神経細胞使ってないのかな。とか。きっとストレス多そうだから体内の炎症数値高いだろうなとか。笑
何が言いたいかというと、人間トライ&エラーが当たり前だということなんですよね。普通に健康な脳で生きていくために。努力して、ちょっと大変なことをあえてこなして、頑張って、それでも失敗して。そうやって成長するように、細胞ができてるわけです。
それを理解すると、仕事や子育てにすんなり活用できるようになりませんか?
「こんなに時間と努力とリソースをつぎ込んだのに何で失敗したんだ!」ではなく、
「こんなに時間と努力とリソースをつぎ込んだんだから、失敗から学べばもっと成長できる!」
となるわけです。
これが私的、トライ&エラーの活用法。もし今何か落ち込んでたり、うまくいってなかったり、頑張ってるのが報われなかったり。そんな思いをしている人がいたら、大丈夫。今脳みそ成長中の証拠です!(こんな話ばかりしながら子育てしてるので、もちろん長女には「いや怖いわ」って言われます笑)