細胞の秩序#5
人間の脳みそってすごく本能に忠実にできてるなと思ったことありませんか?例えば、皆さんご存じ、幸せホルモンの一種、ドーパミン。
報酬型の神経伝達物質とも呼ばれ、厚生労働省が運営するサイトでは以下のように書かれています。
神経伝達物質の一つで、快く感じる原因となる脳内報酬系の活性化において中心的な役割を果たしている。
e-ヘルスネット
ふむ。つまり、気分が良いと感じるときにドバドバドーパミン、というわけですね。
報酬型と呼ばれる理由は、「何かを得たときに報酬として分泌される」ホルモンと考えられていたため。例えば、私たちの脳は旧石器時代からほとんど変化していないといわれていますが、この時、日々食料を見つけて生きていくのはすごく大変でした。だから、私たちの脳は果物や木の実を見つけるとその報酬としてドーパミンを出して、「ほら、気分がいいでしょ?もっと見つけな!」と合図を送っていたんです。
でも、近年、この報酬型の認識が違うということが明らかになりました。これまでは“起こったこと”に対してドーパミンが出ると考えられていましたが、実は本当は起こると“予想している”時点でドーパミンが出ているというのです。
どういうことか、先ほどのリンゴで例えてみます。
リンゴを見つけたときや食べたときではなく、「あの木を登ったらリンゴがあるかな?」と予想したときに、ドーパミンが分泌されるということなんです!
なぜかというと、私たちの先祖は食べ物がなかったため、見つけられるかわからない世界で不確かなものに”期待”することで食べ物にありつくことができ、生き延びてこられたから。期待せずに「大変な思いをしてのぼってもどうせリンゴはないよ」といつも思っていたら死んでしまいますもんね。だからドーパミンが人間の小さな期待に反応して、励ましてくれる役割を担っていたんです。「大丈夫!きっとあるよ!挑戦してみよう!」って。
でも、当たり前のように手軽に食事ができるようになった現代の日本。ドーパミンは相変わらず私たちを励ましてくれていますが、その対象が多くなりすぎてしまいました。
スマホを親指でスクロールした先に何があるかな?
もう少しお金を入れたらゾロ目が出るかも。
目の前のお菓子をどうしても今食べたい
身近にこうした”期待”の対象が多くなりすぎて「やめられない」という現象がおこってしまっているんです。だからドーパミンは中毒の原因なんていわれるようになってしまいました。
ドーパミンは人間が生きるために希望を持たせてくれる大きな役割を担っていました。だから、私たちがそのことに気づく必要がる気がします。
SNSを流し見しながら時間が過ぎてしまっているとき、
ギャンブルがやめられないとき、
コンビニのお菓子コーナーでついついお菓子を買いそうなとき、
「これをやめて本を開いてみたらなにか面白いことが書いてあるかな?」
「どうせ外に出るならパチンコじゃなくてジムでも行ってみようかな」
「このお菓子をやめて果物にしたら、肌がきれいになるかな?」
バカバカしく思っても、期待してみてください。そしたらきっとドーパミンがあなたの期待を応援してくれます。
私たちの細胞は私が生きるために最善のルートを選んでくれるようにできています。彼らの秩序を守るためにも、時には私たちが寄り添ってみる必要があるのかなと感じます。